医学部在学中、ダニエル、ビヨーは仏文大日経をみつけた。ソルボンヌ大学に学び文学博士になられた田島隆順大僧正が1936年に翻訳されたその本を読んで、日本の真言密教の教えに強く魅かれ、深く学ぼうと決心をした。
1974年、人間国宝であり、真言宗豊山派の長老であった青木融光大僧正とは、パリで仏教音楽声明の講演をされたときが始めての出会いであった。医学部卒業後は、数回にわたって長期の日本滞在を繰り返した。東京の自坊の円通寺事相道場にて融快、妻は融仙の法名を授かって弟子となった。そして、師僧の指導の下に、四度加行、伝法灌頂、一流伝授と真言宗の阿闍梨となるための伝授を受けて修行をした。また、奈良の宝山寺の管長、松本実道大僧正を初めとして多くの優れた師たちと出会い教えを受け、求聞持法、八千枚護摩供、聖天法などの行もした。
フランスでは、数年の間、精進修行に専念し、1989年に真言宗寺院、光明院~生きるための光~ を開創し、今日まで日本から何人もの高僧方をお迎えしてきた。
2006年には、水屋神社の久保憲一宮司と出会い、神道の和光神社~和をもたらす
光の神社~ が祀られた。
パリから160km、ブルゴーニュの北部にあり、牧場と森に囲まれた光明院は、喜びと感謝の心をはぐくむ祈りと安らぎの場である。
本尊は不動明王で、奈良の宝山寺において開眼供養された尊像である。憤怒の形には障害や煩悩を打ち砕き動揺をしない慈悲の力が象徴されている。日本では,お不動様と親しまれ、多くの寺院で護摩供養をして祈られている。フランスの光明院でも同様に護摩をたき日々祈っている。
真言密教は6世紀にインドに起こり東洋に伝わった金剛乗仏教の流れで、弘法大師(空海 774-835)が密教の経典や教えを求めて唐に渡り、帰国後伝唐の教えをもとに真言宗の教理をまとめあげた。
弘法大師は日本文化史上、哲学者、著作者,書家として数々の分野に抜きん出た天才的偉人である。多くの寺院、とりわけ宗教都市となった高野山を開創した。
真言宗の教主は大日如来~大なる太陽~で、すべての生物を生かす宇宙の生命力のあらわれである。金剛界と胎蔵界の曼荼羅が智慧と慈悲の世界を教えるために図象的にあらわし、三密の実践をしてこの身のままこの世で仏になることを教える。~即身成仏~
印を結び真言をとなえ意を仏に集中して身口意の働きを整え、すべてに慈悲と敬意を持ち、この世を仏の極楽~密厳国土~と見る。仏はいたるところにおられる。
瞑想の修練をすると人生をよりよく生きることが出来るようになる。そのためには、まず自分の過ちを認めて反省する。そして、仏法僧の三宝に帰依をする、仏様と教えを伝える師僧たちを信じてすがることである。すべてに対する慈悲が生まれ、心が明るく広がっていく。こうして祈ると毎日の生活の中で導かれ守られるご縁がいただける。
仏との縁を保つためには、我々の毎日の行い、言葉、思いがいつも正しくやさしく、仏のごとくあるように気をつけねばならない。十善戒が過ちを犯さないように教えている。過ちの源である煩悩を清めるには真言をとなえるのが大変効果的である。
空の瞑想をすると心が静まる。真言宗にはいくつかの修行法が伝えられていて、
黒地に浮き出る白い月輪を瞑想する、また、大日如来を象徴するあ字の形や音を瞑想する法がある。
こうした瞑想を繰り返すと自分自身を深く認識するようになり、心の葛藤から解放され安らぎが得られる。
*真言や瞑想の伝授と指導は住職との面談の上、光明院にておこなわれます。
2006年秋に、フランスに始めての神道のお社が光明院境内に祀られた。伊勢に近い、1000年を超えるクスの大木をご神体とし、御聖水のわく泉のある旧い歴史を持つ水屋神社から久保宮司をはじめ多くの人々が来られ、伝統に従ってお祭りが行われた。
主祭神は天照大神である。神道では自然の中に神が様々な形で現れていると見る。自然を敬うは、仏教と同様に宇宙の生命力に敬意を表すことになる。神道は日本人の生活に深く根ついている旧い伝統であるので、フランス在住の日本人の中には、結婚式とか子供の7,5,3を祈ってほしいと訪れる人もいる。
`例祭 毎月第1日曜日に身体健全、安全、招福などのご祈祷をする護摩を行います。
‘1月 修正会 お正月7日まで世界の平和と新しい年の幸福を祈ります。
‘2月 節分会 旧正月、障害を払い福を呼ぶように祈ります。
‘8月 施餓鬼会 御先祖を供養し、餓鬼界に施しをする。ご加護と安楽を祈ります。
‘9月 沐像供養 仏様に香水と花をささげて清める祈りをします。
*イベント欄にある詳細日程をご参照ください。
希望者はパリから車で毎月第1日曜日の護摩供養にお連れいたします。ご質問などありましたら、コンタクト欄よりメッセージをお送りください。
http://www.komyo-in.net/propos/